「公表裁決事例」の速報解説が公開されました。

 国税不服審判所が,3月23日に公表した「令和3年7月から9月までの裁決事例の追加等」について,Profession Journal誌に解説記事を寄稿しました。追加で公表された裁決は,相続税法が6件,所得税法が1件で,合わせて7件となっていますが,相続税法のうち4件は,同じ被相続人相続税申告に係るもので,実質的には4件と言えるかもしれません。

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 解説記事では,4件の裁決をまとめる格好で,争点と国税不服審判所の判断を紹介しています。未成年の子に対する生前贈与が有効かどうかの判断や,子の名義預金がどの時点で贈与が成立したといえるかについての判断など,実務に直結する争点もあり,一読に値する裁決であると考えてとりあげた次第です。

 新型コロナウイル感染症の影響で,審査請求実績は大きく減少していますが。そのためか,このところ,公表される裁決の数も少なめのようです。

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 以前にも本欄で述べたことがありますが,国税不服審判所の裁決は,「全件開示」が原則のはずですが,残念ながら,現在は,「原則不開示」で,開示するかどうかの判断基準を示さないまま,一部のみ開示している常況であり,この点は早く改善してほしいものです。