先週から始まった新連載記事「最近の子会社不正をめぐる傾向と防止策」第2回「持株会社による事業会社の統制」が公開されました。
第1回の「中国子会社による不正」に続く第2回めは,LIXILグループ株式会社とすてきナイスグループ株式会社という二つの持ち株会社傘下の子会社で発生した不正について,調査報告書をもとに「傾向と防止策」を検討しました。
両社に共通することですが,持株会社の従業員数がたいへん少ないことに改めて驚きました。LIXILグループは連結従業員数62,940人に対して持株会社単体は56人。すてきナイスグループは連結従業員数2,464人に対して,持株会社単体では20人。どちらも全社共通部門の人員にカウントされており,とくにすてきナイスグループに関しては,「総務及び財務等の管理部門」の人員であることが,有価証券報告書に明記されています。
果たしてこの少ない人員で,グループ会社のガバナンスの管理監督することが可能なのか,というのが今回の問題提起となりました。
LIXILグループには内部監査部門はありません。内部監査はもっぱら主要な事業会社の中に置かれ,有価証券報告書では以下のように説明されています。
当社の内部監査は,国内外の主要グループ会社に編成した内部監査組織と連携を取ることで,グループ全体として遺漏のない監査を実施しております。(当事業年度末は,グループ全体で60名で構成。)
一方,すてきナイスグループには内部監査室はありますが,室長は事業会社との兼務であり,他に室員はいませんでした。
どちらの持株会社にも,内部監査機能は,実質的には存在していなかったといえるのではないかと思います。果たして,それでいいのでしょうか。
連載は来週まで続きます。
ぜひ,ご一読ください。
ちょうど,昨日は,一般社団法人企業研究会で,「不正リスクの許容ライン」をテーマにセミナーでお話しさせていただく機会もあり,こうした持株会社による事業会社のガバナンスについても,時間を取って説明することができました。
ご参加いただいたみなさん,ありがとうございました。