「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 月1回連載を続けさせてもらっている「会計不正調査報告書を読む」連載第88回の記事が,本日公開のProfession Jouanal誌に掲載されました。今回とりあげた報告書は,ホシザキ株式会社の第三者委員会調査報告書です。連結子会社であるホシザキ東海株式会社で「不正が行われている」との内部通報があってから7か月以上が過ぎ,公表された報告書は160ページを超える大部のものとなっていました。

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 全自動製氷機や業務用冷蔵庫などでトップシェアを誇っている優良会社の販売子会社で何が行われていたのか,第三者委員会は,大量の弁護士や会計士を投入して,網羅的な調査を行っています。ただ,子会社不正ではありがちなことですが,初動調査の甘さが,結果的には,第三者委員会の設置やその調査が長引いたことに伴い定時株主総会後の臨時株主総会の開催など,大きな影響を与えることになりました。同じような事案が幾度となく繰り返されていることに,連結子会社を管理する立場にある部門の役員は,早く気づくべきであると考えます。

 上場会社が公表する「不適切な会計処理」のトレンドは,上場会社本体ではなく,連結子会社で,傍流で,内部統制システムの評価スコープから外れるくらい重要性に欠けた子会社であるというのが,ここ数年続いてきました。ただ,今回のホシザキの事案は,決して傍流の子会社ではなく,有力販売子会社で行われてきたことが長い期間放置されていたこと,代表取締役社長は本社取締役が兼務していたことなど,これまでのトレンドとは少し様相を異にしているようです。

 いかにして子会社における不正を防止し,または早期発見するか,このあたりの論考をまとめるための格好の材料となる調査報告書でした。