「会計不正調査報告書を読む」連載第124回が公開されました。

 毎月連載させていただいているProfession Journal誌の「会計不正調査報告書を読む」連載第124回が,昨日,公開されました。今月が,グローリー株式会社の連結子会社で発覚した経理担当者による巨額の資金流出事件に関する社内調査報告書をとりあげました。2009年から発覚した2022年2月までの間に,元従業員が横領したと推認される金額は21億円超。そのうち17億円超は,馬券に費消していたということでした。

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 社内調査委員会は,「約13年間という長期にわたり,Xにより現預金が横領されているという点で特異な事例」であるとして,「不正行為の発生を阻止し,又は早期に発見することができなかった直接的な原因(問題点)としては,出納・資金の管理に関する内部統制が形骸化していた」と結論づけていますが,経理業務をすべてXに任せきりにしてきた,グローリー子会社の取締役,総務統括部長らの役職者はもちろん,グローリーの財務部門,内部監査部門なども,その無関心さは責められるべきでしょう。

 傍流子会社の経理担当者による巨額横領事件と言えば,2015年に発覚した北越紀州製紙株式会社の子会社を舞台にした,総務部長による当座貸越枠を利用して銀行から借り入れた資金約27億円を横領した事件を思い出すわけですが,周囲の無関心ぶりが発覚の遅れにつながったという点では酷似している印象を持ちます。

 ぜひ,ご一読いただき,みなさんの組織に同じようなウイークポイントはないか,検証していただければと思います。

 話題は変わりますが,ジャーナリストの岩澤倫彦さんの取材を受けて,岩澤さんが週刊文春に寄稿した東京女子医大の資金流出疑惑について文章の中で,いくつかコメントが掲載されました。

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 岩澤さんの緻密な取材に基づいた記事は,とても読み応えがあります。こちらもぜひお読みください。