「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 毎月,寄稿させていただいているProfession Journal誌の「会計不正調査報告書を読む」連載第106回の記事が,昨日,公開されました。今回とりあげた調査報告書は,株式会社旅工房の外部調査チームがとりまとめ,6月26日付で公表されたものです。

 架空発注した旅行券の換金を繰り返していた社員の犯行は,旅行券を発行している会社からの通報により発覚しました。この社員は,なぜ,こうした不正をすることになったのか。なぜ,他の社員は気づかなかったのか。そうした疑問を持ちながら,調査報告書を読みました。

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 デロイトトーマツが公表している「企業の不正リスク調査白書 Japan Fraud Survey 2018-2020」によれば,最も多い不正類型は「横領」となっています。

 本件は,架空発注して取得し,換金した旅行券は,架空売上に伴う売掛金の回収偽装や,旅行券の仕入代金の支払いに充当されており,外部調査チームによれば,不正に領得した約3億円の旅行券のうち,社員による横領金額は約39百万円と認定しています。横領がどの時点から開始されたのか,報告書から明らかではありませんが,不正に領得する旅行券の金額が大きくなるにつれ,自身でも金員に手をつけたのであろうことは推測でき,そうした意味でも,不正を早く発見する仕組みを作ることの重要性を認識する事案でと言えるかと思います。

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