「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 すっかりご報告を失念しておりましたが,先週16日(木)に,「会計不正調査報告書を読む」連載第148回が,web情報誌Profession Journalで公開されました。今回は,東テク株式会社の子会社で行われていた架空・水増し発注による横領事件の調査報告書を取り上げました。実は,「横領」があったかどうかは,特別調査委員会は,断定していません。では,なぜ,架空・水増し発注を繰り返したのか。残念ながら,動機は判然としないところが残りました。

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 東テク株式会社は,本件子会社不正に先立つ時期に,同じような架空・水増し発注によるキックバックを裏金として,私的に流用していた事件がありました。発覚経緯も「税務調査」であり,おそらくは,同じような購買部門による牽制機能の脆弱性と,内部監査部門の機能不全により,長く発覚しなかったものと考えられます。そうした意味では,最初の不正発覚時にグループ全体の調査を行わなかったことが,当時の経営陣と調査委員会の判断ミスがあったのではないかと問われそうな事案ですが,本件で問題となった子会社は,何しろ,売上規模が小さすぎて,調査対象に加えなかったという判断に否定的見解を示すのも難しいかなと思ったりします。

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 ともあれ,本件をきっかけに,10年近く前の原稿を読み返してみて,少しは進歩したのではないかと自賛することができたのは,良かった気がします。単に文字数が増えただけではないかというご指摘は甘受いたします。