通常は月1回連載をさせていただいているProfession Journal誌の「会計不正調査報告書を読む」ですが,1月は,「2019年の調査委員会の設置状況」の記事を寄稿させていただいた関係で,2回目の連載記事となりました。
連載第95回でとりあげた調査報告書は,昨年12月,株式会社シーイーシー(CEC)が公表した特別調査委員会のものです。
CECは富士通系のシステム開発会社で,富士通の所有権割合が9.62%,富士通系のディーラーである株式会社ミツイワが12.73%を有する大株主に名を連ねています。そのCECの2019年第2四半期の会計監査で,2019年1月に売上計上した約5億円の「仕入販売取引」,つまり,製品を他社から仕入れてそのまま販売するという,CECの主要ビジネスではない取引に関して,売上の実在性についての疑義が会計監査人であるPwCあらたから指摘されたことをきっかけに,二人の社外監査役を含む特別調査委員会が設置され,調査が始められました。
調査結果については,ぜひ,Profession Journal誌をお読みいただくとして,ここで記しておきたいのは,この取引,もしかして,年末から調査を開始したことを公表しているネットワンシステムズなど上場会社の間に発生した循環取引の一部ではないかという点です。ネットワンシステムズの循環取引については,日鉄ソリューションズ,東芝ITサービス,みずほ東芝リースに加えて富士電機の連結子会社富士電機ITソリューションなど,続々と循環取引に参画した会社名が上がっていますが,CEC調査報告書に出てくる「C社」がネットワンシステムズではないかというのが筆者の推測です(外れていたら,すみません)。