日経コンピュータ3月5日号にインタビュー記事が載りました。

 日経コンピュータ最新号の特集記事は「循環取引――IT業界納闇再び」というものです。目次を転載しますと,以下のとおりです。

特集1 緊急特集、循環取引
・緊急特集、循環取引 IT業界の 「闇」 再び
・水増し、1000億円超 循環取引の全容判明
・繰り返される不正会計 行き着く先は経営破綻
・ 「悪癖」 なくせるか 識者に聞く根絶策

shop.nikkeibp.co.jp

 目次の最後の「識者に聞く根絶策」の中に,弁護士の遠藤元一先生,会計評論家(元公認会計士)の細野祐二先生とともに,小職のインタビュー記事が掲載されています。たいへん光栄なことです。

 内容的には,「商流取引」「純額取引」といった,自社で付加価値を生まずに手数料だけを得るような取引を禁止するしかない,ということに尽きます。

 ネットワンシステムズの特別調査委員会中間報告書では,「商流取引」を正当化するような説明が目を引きました。「純額取引」の商談で,会計監査の対象となったものは,内部監査部門の監査対象から外していたこともわかっています。

 証券取引等監視院会は,昨年10月に公表した「開示検査事例集」において,最近の検査事例の1から3がすべて架空売上が計上されていたことを受けて,会計監査人の対応を今ふうに批判しています。

会計監査人の監査手続も、取引先からの証票類や売掛金の入金に着目し た対応に止まっていました。取引量の拡大等に伴って、会計監査人が売上計 上をグロスからネットに変更するよう指摘した事例もありましたが、商品の実在 性の確認は疎かになっていました。(監視委コラム:架空取引(資金循環取引)の気付き)

 「商流取引」は製品や商品の実在性を確認することが非常に難しい取引です。製品や商品はメーカーからエンドユーザーへ直送。エンドユーザー名は守秘義務から明かしてもらえない。もちろん,エンドユーザーと連絡を取ることなどできません。こうした状況の取引に,なぜ,会計監査人は「問題ない」としたのでしょうか。

 それは,会社が「商流取引」を容認するルールを作り,そのルールに則った形で各種の証憑が偽造・変造され,代金の決済は約定どおりに行われていたからに他ならないでしょう。であれば,現行の会計監査では,架空取引を発見することなどできないのではないかという疑問が生じます。

 IT業界も相次ぐ架空取引で大きく揺れていますが,会計監査についても,大きな課題を突きつけられた事件であると考えています。