「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 毎月連載しているweb情報誌Profession Journal最新号に,「会計不正調査報告書を読む」連載第146回が,公開されました。今回,とりあげた調査報告書は,株式会社ビジョナリーホールディングスが設置した第三者委員会によるものです。

 ビジョナリーHDは、元代表取締役社長星﨑尚彦氏らの「企業価値を毀損する行為」の疑義に関する内部通報を端緒に,複数の調査委員会を立ち上げ、その調査結果を公表してきています。今回は、5月31日付の「第三者委員会調査報告書」を中心にまとめました。次回【第147回】では,7月25日付の「責任調査委員会調査報告書」を中心に,調査結果の概要をまとめてる予定です。

profession-net.com

 調査のきっかけは,会計監査人の監査ホットラインに,星﨑元社長に関する通報があったことでした。ビジョナリーHDは,通報内容に基づき事前調査を行ったうえで,第三者委員会を設置しました。

 結果的に,第三者委員会による調査は,ヒアリング対象者による面談の拒否や虚偽の説明,調査対象会社による資料の提供拒否などにより,十分な解明が進んだとは言えないものに終わってしまいました。調査結果を受けて,会計監査人は,監査意見の不表明とともに辞任を申し出るという事態につながってしまいました。こうした結果を受けて,第三者委員会は,更なる調査及び検討を行うためには,裁判所,検察庁もしくは警察等の捜査機関,または金融庁もしくは公正取引委員会その他の行政機関による強制権限に基づく調査及び資料収集を待たざるを得ないことから,ビジョナリーHD取締役会に対して,強制権限を有する機関への各種働きかけを通じて本件事案の更なる解明を図ってもらいたいと述べています。

 十分な調査を尽くせなかった第三者委員会の調査結果を受けて設置された責任調査委員会が,どのような調査結果をまとめたかは,次回の連載で検証したいと思います。